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Field Report
7/6  夏の本流アマゴ
Text by Nomura
Photo by Nomura

今年の川はタイミングが難しい。

雨が多く、数日おきに増水している。
ご存知、増水後の引き水には魚の掛かりやすい良いタイミングがある。

各河川、地方にもよるが、四国のように植林が多く、原生林の少ない山から流れ出る河川では、
一番良いタイミングは1〜2日、長くても3日目があるかないか…。
(ダムの上か下か、でも変わってくるが…)

春先では、濁りが殆ど取れた状態で一番水位の高いタイミングが良い結果をもたらす場合が多いと思う。
つまり、濁りの取れた一日目ということになる。

夏になってくると、増水で水温が1℃でも下がれば、多少濁りが残っていても
追いがいい場合があり、なるべく水位の高い状態で勝負する必要がある。
つまり、春より2〜3日早く川に入ることになる。

しかし…
何故か今年はその良いタイミングがない増水がある。
増水、濁りの繰り返し。
一日でまとまった大雨が降り、一気に増水濁流。
いろんな所で山崩れが起きているのか…
濁りが取れる前に、水が引いてしまう。そして、また雨が降るとすぐ増水、濁りの繰り返し。
例年なら、増水後に濁りが取れてくる水位で、今年は濁ったまま釣りをする事もしばしばである…。

先日から雨が続き、一時的に水温が若干下がった事で、いいサイズのアマゴがルアーを追うが、
すでに本流は限界水温、濁りも残った状態だとかなり食いが悪い。



今朝は、一瞬の判断を見誤った。

水位がまだ高い、ささ濁りの中規模河川に入った。
川幅は10m程、ポイントはガンガン瀬。

濁りもあり、時間も無いため、先ずは7cmのバルサミノーを選んだ。
ロッドは2007年からテストしている本流用6ftパワーロッド。

大きめのミノーでサーチし、そのポイントの一番良いサイズを最後まで追わせる。
数匹が同時に追ってくれば小さい方を先に見切らせる事も出来るが、リスクもある。

川幅が狭いが流れが速い為、クロスで釣り下っていく。
そして先ず、最初の瀬の核心部に…
クロスで入れ、トゥイッチを掛けながらUを描いていく。
何投かしたが、アタリはない。
そして、諦めかけた数投目。

ギラッギラッ!っと、瀬を横切った辺りから追って来るのが見えた。
濁りがあってもハッキリ確認出来る程のサイズ。
デカい!

そこからは魚の動きを見ながらの攻防。(実際は僅か3〜4秒のやり取り)
残りあと3m程の所まで追ってきたが、まだハリに触れない。

限界の距離。
ここで瞬時の判断に迫られる。

残りの距離を追わせ、食わしにかかるか…
もしくは、
ピックアップして、二投目に賭けるか…
(小さな渓流で魚を見ながらのアップの釣りでは、毎回起こるあの「瞬間の選択」である。)

魚の動きを見て一瞬迷った。
が、「いける!掛けられる!」
選択は前者、追わせることに。
この間、たぶん1秒ぐらい。

そして、ターンするギリギリのところでミノーを喰わせた。
しかし…

僅かにリアフックに触れる程のバイト…
首を2.3回振ってあっさりとルアーを外し、流れに戻っていった。

これが前者を選んだ時の最悪のパターン。
ハリに触れさせ、2投目を失う。

こういう時って、あとで冷静によく考えると、
「あー… あの追いは掛けてもバレる掛かり方しかしないよなぁ…」
となる。

夏のアマゴはよほどの好条件でないと追いにだるさがあり、「食い」が浅い場合が多い。
更に濁りのせいで追いを早く確認出来なかったのも敗因の一つだが、
おそらく、数投した際に何度かミノーを見ていたのかもしれない。
あとの祭りである。

しかし仮に、「二投目に賭ける」を選択した場合でも上手くいくとは限らない。
確かに二投目は一度追いを見ている分、攻め方に変化が付けられる。
僕の場合は、先ず立ち位置を二歩ほど下げる。
(分かる方には分かると思いますが、長くなるので説明は省きます。。。)
ルアーのサイズを変える(小さく、もしくはスリムにする)。これは上等手段。
カラーを変える。アピールを上げる。ルアーを通すラインを変える。
姿勢を低くする。いるのが分かっているのでゆっくり攻められる。
等いろいろ…。

でも、忘れてはいけないのは魚が一度ルアーを見ている(追っている)ということ。
一投目とは、魚のやる気や警戒心、性格が異なっている。
結局、リスクはあるのです。

この「瞬間の選択」は、経験と結果を蓄積して確立を上げるしかない。
先ず魚の動きをよく見ることと、魚の習性をよく知ることが大事。
アマゴ、イワナ、ヤマメ、川、住み方、等によって習性は様々。

で、ようやくいいたいことに到達。
現場でこの状況に遭遇してこの話になると簡単に出来る僕の経験からのアドバイスは…
迷った時は、「後者(ピックアップして、二投目に賭ける)を選べ!」
である。
これは、迷った時点で「掛けれないかも?」 と、いう少しの不安を持っている。
後者を選択した方が良い結果に繋がることが多い。と思うのは僕だけではないはず…

そして、
意気消沈して迎えた最後のポイント。
核心部に、一投目。

今度は一発で追ってきた!
さっきより少し小さいが良いサイズに見えた。
しかし、すぐには食わない。
残りの距離は僅か…
また、さっきの選択に迫られる。

だが、、今度は迷い無く、「掛けられる!」と思った。
更に追わしにかかる。
そして、ギリギリのところでヒット。

いい手応え。
ガッチリ掛かった感触があった。

数回の走りを止め、ネットを近付ける。
すると、何かを吐いた。
とりあえず、先に掬う。
そして、ランディング。



ちょっとグロくてすみません。
ランディング寸前に吐いたのは、17cmの鮎。
ルアーは山夷68Fのアユ。

自分の半分程の長さの鮎をくわえたまま、掛かっていたのである。
まさに本能でミノーに襲いかかったオスアマゴ。



先週のよりはだいぶ小さいが大満足のサイズ。
これまた婚姻色がうっすら出た7月らしい綺麗なアマゴ。

よくあることだが、準備中に雨が降ってきたので、
重装備を止め、コンデジのみを持って川に下りた。
こういう時はいい奴が釣れるんです。



二度目のチャンスはモノにした。
サイズは今シーズン3番目だが、今年一番記憶に残る魚になったのはいうまでもない。

〜Tackle Data〜
Rod: WTS / LF-60MH STAG (Proto)
Reel: 07 STELLA C3000HG
Lure: 山夷68F
Line: ナイロン5lb/リーダーフロロ8lb
Custom Wood Handle Knob STAG(鹿角)


PS:
お食事中、本当にすみません。
アマゴと読んだ人達へ


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